「取適法って、名前だけは聞いたことあるけど……」
「支払金額が合っていれば、それでいいんじゃないの?」
もしあなたが今、そう思っているなら少しだけ待ってください。
2026年1月。僕たち経理にとって、かなり大きな変化がやってきました。
それは、長年親しまれてきた(?)「下請法」がアップデートされ、新しく
「中小受託取引適正化法(通称:取適法)」
参考:政府広報オンライン
へと生まれ変わったことです。
「また法改正か……面倒だな」
そう思う気持ち、よく分かります。
僕も昔は法改正のニュースを見るたびに「今の運用を変えるの、誰がやるんだよ……」と溜息をついていました。
でも、断言します。 あなたにとって、今回の改正は「ただの面倒な作業の変化」ではなく、「社内での評価を一気に上げるチャンス」なんです。
今日は、支払実務を担当する若手経理のみんなに向けて、取適法で何が変わったのか、実務でどう動けば「デキる経理」になれるのかを解説します。
1. そもそも「取適法」って何が変わったの?

これまでの「下請法」は、ざっくり言うと「大きな会社が小さな会社をイジメないように守る法律」でした。
今回の「取適法」へのアップデートで変わったのは、その「守る姿勢」がさらに強化されたことです。
特に注目すべきは、法律の適用対象。
これまでは「取引の内容」と「資本金の額」だけで判定していましたが、今回から「従業員数」による基準も追加されました。
これまでの資本金基準に加え、従業員数による基準(常時使用する従業員数300人(製造委託等の場合)又は100人(役務提供委託等の場合))が新たに追加されます。
引用:政府広報オンラインより
つまり、「資本金は小さくても、スタッフがいっぱいいる会社」からの依頼も法律の対象になる可能性が出てきたんです。
「うちは関係ないかも」と思っていた取引が、実はNG行為になっていた……なんてことが起こりやすくなっています。
まずは、自分の会社が「守る側(委託事業者)」なのか「守られる側(中小受託事業者)」なのかを再確認してみてくださいね。
僕の会社は従業員数こそ300人以下ですが、資本金が1千万以上あるので変わらず該当しています。
従業員が300人以上いる会社が従業員50人の会社と取引する場合、取適法が適用されます。
2. 【大ニュース】ついに「手形」が事実上の廃止へ
今回の改正で、僕が一番驚いたのがこれです。 **「代金を手形で支払うことが、原則として禁止」**になりました。
全国銀行協会では、2027年3月に手形を廃止する方針を固めています。
それに伴って、各銀行も足並みをそろえる様に2026年中に手形発行をやめたり、手形受付を停止したりしています。
僕も現在いる会社が製造業で手形を受け取っていますが、取引銀行なども2026年9月発行を最後に手形がなくなるなど、どんどん手形がなくなっていくのを感じます。
手形って面倒臭いですよね。
金額をタイプライターか何かで入力後、印紙を貼って、期日を書いて、会社名のゴム印を押して、上司に確認してもらいつつ捺印をもらって・・・
もらった方も、領収書を作らなくてはいけないしで、この時代においてメリットを感じにくいです。
取適法では、その負担を相手に強いるのはもうやめよう、ということになりました。
参考:全国銀行協会
個人的には手形廃止非常に嬉しいです。
手形の発行には時間がかかり残業のもとになっていました。
あなたが今すぐやるべきこと
もしあなたの会社がまだ手形を使っているなら、今すぐ上司にこう聞いてみてください。
「今回の取適法の施行で手形払いが原則禁止されましたが、うちの支払フローはどう変えましょうか?」
これを自分から切り出せる20代、正直言ってめちゃくちゃカッコいいです。
「現金振込」や「電債(電子記録債権)」への切り替えをリードできれば、あなたは単なる「作業員」から「法務もわかる経理」へとステップアップできます。
取引銀行の手形廃止の案内などを見せながら、「廃止まであと〇か月です。どうしましょう。」などと相談するのもありですね。
どんなに頑固な会社でも、国が廃止となれば従うしかありません。
そして、従わなかったら現金化できなくて困るのは取引先なので、変えざるを得ません。
3. 「振込手数料、先方負担でいいよね?」が違反になるリスク
「振込手数料は先方負担で。長年の商慣習だから問題ないでしょ」
これ、多くの中小企業で当たり前に行われてきたことです。
でも、取適法のもとでは、合意があっても「不当な減額」とみなされるリスクがこれまで以上に高まっています。
「数百円の話でしょ?」と思うかもしれませんが、法律に「NG」と書かれていることを放置するのは、会社にとって大きなリスクです。
「商慣習だから」と思考停止せず、「法律が変わったので、今のうちに契約書や設定を見直しませんか?」と提案できるかどうか。ここで経理としての「守りの力」が試されます。
4. なぜ「法改正」を知る経理は強いのか?
経理の仕事って、AIに取って代わられるなんてよく言われますよね。
確かに、数字を入力するだけの作業なら、AIの方が早くて正確です。
でも、「法改正という荒波の中で、自社をどう守り、どう改善していくか」という戦略を立てる仕事は、AIにはできません。
今回の取適法をきっかけに、
- 今の支払フローが法に則っているかチェックする
- 営業部門に対して「こういう取引はNGですよ」と教えてあげる
- システムの改修案を出す
こうした動きができる20代は、どこへ行っても重宝されます。
最後に:もっと「戦略的な経理」になりたいあなたへ
日々の忙しさに追われていると、どうしても「ミスなく終わらせること」がゴールになりがちです。
でも、本当の面白さはその先にあります。
会社のコンプライアンスを守り、透明性の高い組織を作っていく。
そんな「経営のパートナー」としての経理を目指してみませんか?
僕が4回の転職を経て学んだ、
「ただの計算係から、替えの利かない専門家になるための戦略」
を別の場所で詳しくまとめています。
「今のままでいいのかな」と少しでも不安を感じている方は、ぜひ覗いてみてください。
[凡人経理が『替えの利かない専門家』になるための戦略的キャリア論〜2026年法改正をレバレッジに、AIに代替されない「仕組みの設計者」へ〜]
まとめ:取適法対応は、あなたのキャリアの武器になる。
- 名前だけでなく、適用範囲が広がった。
- 手形は廃止!現金振込や電債へ切り替えよう。
- 振込手数料の「先方負担」はリスクあり。
- 「法改正」をチャンスに、上司へ提案してみよう。
明日の支払業務、少しだけ「プロの視点」で通帳を眺めてみてくださいね。 僕と一緒に、強い経理を目指しましょう!
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